なみだ歌

 

 

なみだ歌

 

 

 

  黙って酒を飲み

  溜め息ひとつ吐く

場末の居酒屋  ふたりきり

なんとも侘しい  絵面(えずら)だな

店に流れる  歌謡曲

歌っているのは  八代亜紀

振られだ女を  せつせつと

泣けよとばかりの  なみだ歌

 

 

 

  銚子のおかわりを

  あたしも飲むわと  猪口を出す

さびれて虚ろが  匂いたち

溜め息余計に  重くなる

店の壁には  古時計

コツコツ真面目に  針進む

ぼんやり動きに  目を向けりゃ

どうでもいいさの  無言劇

 

 

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